戸田川緑地への出張展示「なごやの河口の生きもの」を開催中!

神秘的なスナメリの全身骨格が間近で見られます
4月22日、戸田川緑地の農業科学館にて、出張展示「なごやの河口の生きもの」が始まりました。入口の自動扉が開くと、正面には大きなスナメリの全身骨格が、縦に伸びるように静かに迎えてくれます。その姿はどこか神秘的で、まるで古代の生きもののようにも、あるいは空想の世界から現れた存在のようにも感じられます。
この骨格標本は、2020年5月24日に見つかったスナメリの個体をもとに作成したものです。その過程は、これまでの当コラム「藤前干潟に漂着したスナメリ」や「じっくりコトコト煮込んだスナメリ~全身骨格ができるまで~」などでも紹介されています。胸ビレの中に見られる5本の指の骨や、整然と並ぶ歯の様子なども、さまざまな角度からじっくりご覧いただけます。

藤前干潟で見られるカマキリ(アユカケ)の標本
円柱型のガラス容器の中に、藤前干潟で採集した魚たちを、まるで今にも泳ぎ出しそうな姿で標本として展示しています。魚たちにはそれぞれに個性があり、見ているだけで引き込まれます。背びれの繊細な模様や、すっと伸びる姿には思わず見入ってしまいます。
その中で、私がとくに心を惹かれたのがカマキリ(アユカケ)です。日本固有のこの魚は、近年、河川環境の変化により数を減らしています。福井県九頭竜川では「アラレガコ(カマキリの地方名)生息地」として、国の天然記念物にも指定されています。昭和の漫画『釣りキチ三平』(講談社)を思い出される方もいらっしゃるかもしれません。藤前干潟でその幼魚が見られることに、私自身とても驚きました。幼魚は川を遡って成長しますが、庄内川では、繁殖しているのかよく分かっていません。毎年、上流を目指して旅を続ける小さな命の姿に、そっと思いを寄せていただけたらと思います。

拡大鏡を通して広がる! 汽水域に住む小さな昆虫が生んだ芸術の世界
汽水域は、潮の満ち引きによって塩分濃度が大きく変化する、少し特別な環境です。そんな環境に適応して暮らす小さな昆虫たちを標本箱の中に丁寧に集めて紹介しています。
備え付けの虫眼鏡をのぞいてみると、オオツノハネカクシの特徴的な頭部や、エンスイミズメイガの翅に広がる幾何学的で美しい模様が、ぐっと身近に感じられます。その繊細な色彩には、思わず時間を忘れて見入ってしまうかもしれません。ポスターでは、彼らの興味深い生態についても紹介されています。汽水に生きる小さな昆虫たちの世界を、ゆっくり味わってみてください。

サンカクウミウズムシの模型を見に来てくださいね
藤前干潟には、マンガのキャラクターのような愛らしい眼をもち、細長く平たい体をした、体長数ミリほどのプラナリアの仲間「サンカクウミウズムシ」が暮らしています。プラナリアの仲間は、体の後方の腹側に口があり、白い管(咽頭)を伸ばして、甲殻類の死骸などを食べることで知られています。 会場では、その白い管を伸ばす様子を、模型や写真、さらに二次元コードから動画でもご覧いただけます。標本もあわせて展示していますので、その小さな体の大きさも、ぜひ実際に感じてみてください。

(なごや生物多様性センター/山崎真嗣)
