生きものコラム

森林保全体験を通して生物多様性を学ぶバスツアーを開催しました

2025年10月19日(日)に「森林保全体験を通して生物多様性を学ぶバスツアー」を開催しました。

小学5年生~中学3年生のお子さんとその保護者総勢29名で岐阜県下呂市萩原町にある「皇樹こうじゅもり」へ向かいます。行先は名古屋市の水道の源でもある木曽川の支流、飛騨川の上流域です。

 

自然をテーマとした地元のイベントへの参加や森林保全体験を通して、森と水の関わりや、森林の重要性を学びました(本イベントは森林環境譲与税※ を活用しています)。

 

※森林環境税/森林環境譲与税:温室効果ガスの排出抑制や災害防止などを目的とした森林整備や、それを促す人材育成・普及啓発等に必要な財源を安定的に確保するため、国民が等しく負担を分かち合って森林を支える仕組みとして創設されたもので、名古屋市にも令和元年度から譲与税が配分されています。

 

名古屋市の水道水は濃尾平野を流れる木曽川から取水しています。大きな川が流れ続けるためには森の力が必要で、雨水をたくわえ、ゆっくりと川へ流すことにより、途絶えることなく川の水が流れ続けます。

 

名古屋市上下水道局の大野さんによると、森林が整備され、安心安全な水が供給され続けるためには、上流地域の経済が回っていることが大切だそうです。上下水道局では上流地域の特産品を販売する取り組みや、意見交換を行うシンポジウムの開催など、流域連携事業に力を入れています。

 

 

森の案内人

バスの道中や現地で案内してくださったのは、NPO法人森のなりわい研究所の伊藤栄一さん。片道約140kmの道のりを、飛騨川沿いの景色を眺めながら上流へ向かって進みます。名古屋で育ち、下呂市に長年住んでいる伊藤さん自身の経験を踏まえながら、車窓から見える土地の歴史や植生の移り変わりなどのお話を伺いました。

下呂市萩原町の森林は7割以上が人工林。地域経済の活性化によって、既存の人工林を活かした森づくりを行うことが大切だとお話しされていました。

 

 

 

屋外でわっぱ飯

現地に着くとまずはお昼ご飯。伊藤さんプロデュースの曲げわっぱに、地元の食材がたっぷり詰まったお弁当をいただきました。下呂市の地元の水と、名古屋市の災害用備蓄飲料水「名水」の飲み比べも行いました。

 

お腹が満たされたところで、現地で開催されている「下呂市みどりの祭」のステージイベントを見学。ヨーデル(アルプス地方の伝統音楽)を聴きながら、伊藤さんの森のお話を楽しみました。間伐材を活用して作られた楽器、アルプホルンも登場。バスツアー参加者の中から2名の方が挑戦し、素敵な音色が響いていました。

 

 

森林保全体験

続いては、会場の隣にある森で簡単な森林保全体験行いました。元々はスギやヒノキが植えられた人工林で、管理上、自然に生えてきた草木は取り除く必要があります。ですが、今後は生物多様性に配慮した森に変えていこうと方向転換し、自然に生えてきた草木も一部残すということを試験的に行っているそうです。そこで、他の草木の成長を遮ってしまう笹などの下草刈りを行いました。人工林か自然林のどちらかではなく、グラデーションのような森づくりにより、生物多様性の豊かさを守るという取り組みです。林業が盛んであった時代と比べ、人と森の関わり方が変わってきており、柔軟に考える必要があると感じました。

最後に、サクラやカエデの枝を使ったストラップ作り。みなさん工夫しながら好きな形に枝をカットし、思い出を持ち帰りました。

 

参加者の声

・森林についての解説が面白かった

・下草刈りを通して森林を整備することの大変さに気づくことができた

 

 

(なごや生物多様性センター 片山友香)

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