生きものコラム

じっくりコトコト煮込んだスナメリ~全身骨格ができるまで~

藤前干潟に漂着したスナメリの解剖・標本化の続報です。スナメリの全身の骨格標本を作り、あれこれ観察しています。前回は「胸ビレになった前足」の話題をこのコラムで紹介しましたが、今回はどのように骨を作ったかについてお話しします。

 

スナメリに限らず、動物の骨を標本にする場合は、解剖時に骨から軟組織(余分な肉や脂肪など)をなるべく取り除いておきます。その後の処理の仕方は様々ですが、センターでは「電気煮込み鍋で煮込む」方法を用いています。煮込み鍋自体はそれ程大きいものではないので、中型動物なら一度に1頭分入れるのが精々です。スナメリのようなより大型の動物の場合は、鍋に入る大きさに体のパーツ(頭部、右側の前足など)を分割し、それをネット(収穫袋)に入れて(写真①)、水を張った鍋で一晩煮込みます(写真②)。鍋から取り出して、ピンセットや歯ブラシを使って残った軟組織を除去しながら水洗し(写真③)、バットに並べて乾燥させます。今回のスナメリでは、この作業をパーツごとに4回行って、ようやく全パーツを骨にすることができました。

 

 このようにセンターに収蔵されている骨の標本の大半は、コトコト鍋で煮込むという地味な作業をコツコツ繰り返して作られているのです。「骨ごと鍋で煮込んで作っています」って、まるで煮込み料理みたいですね。ただし、必要なのは肉ではなく、あくまで“”の方なのです。

(なごや生物多様性センター/曽根啓子)

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