東谷山の山頂の様子
東谷山は名古屋市の北東部と瀬戸市との境界に位置しており、市内で最も標高が高い(198m)山です。山頂には「尾張戸神社」という歴史ある神社があり、山頂までの散策路が整備されていることから、多くの人々に親しまれています。
東谷山は名古屋という大都市の中にありながら、開発を免れた豊かな自然が多く残されている場所です。中でも自然環境保全地域として指定されている西側一帯には、希少な生きものが多数生育・生息しており、豊かな生態系が保たれています。
東谷山を代表する植物の一つに、「シデコブシ」という植物があります。シデコブシはモクレン科の落葉性小高木で、湿地や谷地を中心に生育する日本の固有種であり、名古屋市版レッドリスト2020では、「絶滅危惧IA類」に指定されています。
シデコブシ(開花期)
シデコブシの花
東谷山フルーツパーク第1駐車場の東側にある湿地には、様々な生きものが生育・生息しています。植物では、シデコブシ、シマジタムラソウ、ヘビノボラズ、ミズトンボ、シラタマホシクサ、サワギキョウ、アギナシ、クロミノニシゴリなどが生育しています。動物では、ハッチョウトンボなどの昆虫、アズマヒキガエルやニホンアカガエルなどの両生類、ニホンカモシカやムササビ、カヤネズミなどの哺乳類が生息しています。
また、上記駐車場の南側にある湿地では、シデコブシ、シラタマホシクサ、スイラン、クロミノニシゴリなどの植物、ハッチョウトンボやムカシヤンマなどの昆虫、アズマヒキガエルやニホンアカガエル、オワリサンショウウオなどの両生類の生育・生息が見られます。
(愛知守山自然の会 石原則義)