葦から“Zoo”Synergy
一見、雑草のように思える川辺や干潟の“葦”に着目し、これを研究テーマに掲げ続けて早や6年。川辺や干潟に広大な茂みを作るこのイネ科ヨシ属の多年草が、「水質浄化作用」と「生物多様性の維持」という2つの大きな役割を担っていることを、これまでの研究成果から理解し、この葦原の保全を目的に、環境保護とビジネス活動の両者を連動させる取り組みを展開して参りました。
研究班の創設以来、葦の繊維から生み出された布製品の開発に携わり、5種類の製品を誕生させるに至ったのですが、昨年度からはこれまでの目標にSDGsの理念を導入し、より多様なゴールへの到達を目指して、「葦を用いたごみ問題の解決」を新たなテーマとして掲げました。
すなわち、当たり前のように用いられてきたプラスチック製ストローを、天然素材である葦に置き換えることで、プラスチックごみの排出抑制につながるとの仮説を立て、「葦のストロー」の開発に着手したのです。
試行錯誤を繰り返し、下に示した工程を経てようやく完成した試作品に、より高い商品価値を付与しようと、ストローの末端に「おみくじ」を刻印するアイデアを思い付きました。これを実現するために愛知県立名古屋聾学校の皆さんへ“協働”を申し入れ、現在は同校のバーニング・ペンを用いて手書きで刻印しています。
また、ストローの製造は生活介護施設ヒュッゲおがわのもり様が、流通活動は私たちが担当するという分業計画を提案しました。この体制が本格的に稼働するようになれば、身体的ハンディを持つ方々の社会参画と就労機会の拡大も不可能ではありません。
ストローの材料を代替することで得られる抑制効果が、プラスチックごみ全体から見ればわずかなものであることは承知していますが、この活動により下に示したSDGsのゴールに到達できるものと確信しています。
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