日本ワシタカ研究センター

ケガなどで保護される猛禽類の救護活動

 野生動物もケガをしたり病気になったりします。それは「強い鳥」というイメージがある猛禽類(ワシ、タカ、ハヤブサの仲間)でも同じです。猛禽類は山間部だけでなく市街地やその周辺にも生息しているので、交通事故など外傷の原因が人間の活動に関連している例も珍しくありません。猛禽類の一部は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」の対象となっている絶滅危惧種です。環境省や各種自治体によるレッドリストに掲載されている種もあるので、傷病猛禽類を救護して回復後に野生復帰させる事は希少種保護や生物多様性の保全に繋がります。
 傷病猛禽類が発見された場合、救護目的であっても個人が許可を得ずに飼育する事はできませんので、通常は都道府県の野生鳥獣担当部署がその鳥を保護します。保護した鳥は治療後に野生復帰させる前提で飼育する必要があるため、適切に対応するには専門的な知識や施設が必要です。行政機関で対応できない場合、保護された鳥は専門機関に搬送されます。
 人間は紀元前から調教したワシやタカを使って獲物を捕獲する鷹狩という狩猟方法を通じて猛禽類と関わりを持っていました。日本でも鷹狩は支配階級の文化として江戸時代まで盛んに行われていました。江戸時代の鷹狩では、野生の猛禽類を捕獲して調教し、鷹狩に使用した後はまた自然に戻していました。そのため、野生の猛禽類をペット化せずに一時的に利用するという目的に応じた飼育管理方法が発達しました。日本ワシタカ研究センターでは伝統的な鷹狩の技術を現代の野生の猛禽類保護に役立てていますので、行政機関からの依頼に応じて傷病猛禽類の救護にも取り組んでいます。
 過去15年間(2005年から2019年)の日本ワシタカ研究センターにおける傷病猛禽類の収容数は210羽、放鳥数は75羽(放鳥率35.7%)でした。収容された猛禽類の種類や症状の詳細は下記の通りです。(画像4)

日本ワシタカ研究センター(外部リンク)

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傷病猛禽類救護活動

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