相生山緑地は、名古屋市天白区南部に位置する123.4ha(ナゴヤドームの約26倍)と広大な森です。北部の約30haはオアシスの森と称し、たんけん コースなどのルートを散策することができます。木の葉のそよぎや野鳥のさえずりに、「ここも名古屋?」と、つぶやく人が多いのは、緑の豊かさに心を揺さぶられ たその“あかし”でしょう。
森の春夏秋冬、その一部を紹介します。春、紅紫色のコバノミツバツツジが開花し、続いて薄紅色のヤマザクラが咲き、山肌に彩りを添えます。初夏、ミカンの花が 香る頃、ヒメボタルがひとつ、ふたつと、きらめきはじめます。5月下旬から6月初旬にかけて、草地や竹林でその神秘的な光景を観察することができます。ヒメボタルの生息地として相生山緑地は、日本最大級といわれています。秋、木の葉が黄色や赤く染まる頃、渡りをするチョウ「アサギマダラ」が飛来。渡りの中継地として、緑地は重要な役割をしています。
冬、落ち葉を踏みしめながら、梢に残る色とりどりの木の実を探すのは、まるで宝探しのよう・・。またそれをついばむ野鳥の姿を見つけるの は、癒しのひと時です。ウメの花の香りが漂えば、春はもうすぐです。
相生山緑地が四季折々に豊かな表情を見せてくれるのは、そこに生きるさまざまな植物、昆虫、野鳥などの命のきらめきに他なりません。自然とのふれあいを、多くの人々といつまでも共有できることを願います。
(相生山緑地自然観察会 近藤記巳子)