生きものコラム

2022年度 インターンシップに参加して②

私は現在、大学院で生物多様性をテーマに研究しており、将来学生時代の経験を活かした仕事に就きたいと考えていたところ、このなごや生物多様性センターの存在を知りました。そこで、このセンターでは名古屋の生物多様性の保全のためにどのような取り組みをしているのか学びたいと思い、このインターンシップに応募させていただきました。

 

今回のインターンシップでは、孵化後間もないニホンイシガメの計測哺乳類の標本作成など、普段は経験できないような数々の貴重な経験をさせていただきました。

中でも特に印象に残っているのは哺乳類の標本作成です。まず初めに、ハクビシンの仮剥製作りを体験させていただきました。順に剥皮、防腐処理、綿詰め、縫製の4つの作業をとおして作成しました。ハクビシンは体長92.5cmにもなる成熟した個体で、解剖経験の全くない私は少し緊張していました。剥皮作業は血みどろのまるでサスペンスのような現場だと想像していましたが、実際に経験してみるとあまり血や内臓が飛び出すようなことはなく、綺麗に皮だけを剥ぐことができました。その後、防腐処理をした皮の中に綿をつめ、縫製をすることでハクビシンの仮剥製を完成させることができました。綿詰めを行うので完成した剥製はまるでぬいぐるみのようで、毛並みがとても気持ちよく、かわいらしいものとなりました。

さらに、ウサギの骨格標本作りも体験させていただきました。一晩じっくりと煮込んだウサギをザルに上げ、骨についた肉や軟骨を水洗して取り除き、骨のみを取り出しました。洗っている最中に骨がバラバラになってしまい、どの骨がどこの骨だか私にはわからなくなってしまいましたが、水洗後説明を受けながら並べなおしていただいたところ、無事すべての骨を確認することができました。これらを乾燥させると骨格標本は完成します。

 

今回作成した標本がこれらの動物たちが存在したことを後世に伝える証拠となり、将来の研究に役立っていくものであると考えると非常に達成感の味わえる経験となりました。こういったデータの蓄積がさらなる研究の発展につながるものだと改めて考えさせられます。標本を用いた展示は、一般の方々にも生物多様性の重要性や環境問題に目を向けていただくいい機会になると思うので、今後はそういった活動をしていきたいと考えています。

 

(なごや生物多様性センターインターン生/矢野大智)

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