森林公園でフィールドサイン探し!
今回は、愛知県森林公園で行った野生哺乳類に関する出前講座(座学とフィールド散策)から、トッピク的なニュースをいくつか報告させて頂きます。まず、座学では、センターから持参した標本(仮剥製標本と頭骨標本)を展示して、野生哺乳類の観察の仕方や、森林公園周辺に生息する動物の種類や特徴について解説を行いました。
フィールド散策では、森林公園内の植物園エリアで、哺乳類のフィールドサインを探索しました。フィールドサインとは、足跡や食痕、糞などの生きものの痕跡のことです。今回の散策では、イノシシの痕跡が何種類も観察できました。まず、遊歩道沿いの芝地では、前回のコラムでも紹介した地面の掘り返し跡を多数見つけました。さらに、林内に入ってみると、水が染み出している場所には、イノシシが残した足跡があちこちに!その周辺をさらに散策すると、「ヌタ場」とよばれるイノシシが泥浴びをする場所も見つかりました。イノシシは水が溜まりやすい窪地などを利用して、ダニなどの除去や体温調節のために、好んで泥浴びをする習性があるようです。
イノシシの足跡に、話を戻しましょう。イノシシは、ウシなどと同じ「偶蹄類」に分類されます。イノシシの足は、親指が退化していて、四本指です。各指の先端には、大きくて頑丈な蹄が備わっています。計4つ(=偶数個)の蹄を持つので、「偶蹄類」という訳です。イノシシを含む偶蹄類の動物は、かかとを付けずに蹄のみを地面に付けて歩くので、その足跡は蹄の模様になります。イノシシの蹄は、中央の指(第三・四指)が大型で「主蹄」、側方の指(第二・五指)が小型で「副蹄」とよばれています。コンクリートのように硬く乾いた地面では主蹄の跡しか残りませんが、ぬかるんで柔らかい地面では主蹄と副蹄の両方の跡が残ることが多いようです。
イノシシの足跡は非常に特徴的なので、フィールドサイン探しの入門としてはうってつけです。フィールド散策の際は、ぜひ探してみてください!
(なごや生物多様性センター/曽根啓子)