2021年度インターンシップに参加して①
都市部の鳥獣保護区としての特色を持つ藤前干潟、オニバスの自生が確認されている名古屋城など、大都市でありながら豊かな自然環境が保全されている名古屋市の生物多様性事業に興味を持ち、インターンシップに参加しました。インターンシップ期間中は、ハクビシンの仮剝製製作・サマースクール準備・写真資料の整理など、様々な業務を体験させて頂きました。
特に、牧野池でのカメの生態調査に参加させて頂いた事が印象に残っています。この調査には、6名の小学生とその保護者の方、牧野池緑地の自然保護団体の方々も参加されていました。若年層の生態調査参加は、未来を担う世代が生物多様性問題に一層興味を持つきっかけに成り得るだけでなく、地域の方との世代を超えた交流によって、地域コミュニティの活性化にもつながるのではないかと感じました。
今回の調査では、クサガメ6匹、ミシシッピアカミミガメ4匹が捕獲されました。クサガメ・ミシシッピアカミミガメ各1匹の計測を担当したところ、前者は甲長167.55mm・体重752g、後者は甲長211.70mm・体重1,577gであり、両種の体格差を実感しました。また、クサガメは全く噛まないのに対し、ミシシッピアカミミガメは計測時に大暴れし噛みつこうとするなど、気性の荒さの違いを目の当たりにしました。
植物においては、 名古屋市版レッドリスト2020で絶滅危惧Ⅱ類のガガブタが群生している一方、外来種の園芸用スイレンが駆逐できないことが問題となっていました。「きれいな花だから、良かれと思って」放たれてしまい、繁殖してしまったそうです。園芸用スイレンは成長が早く、ガガブタの生育を阻害し、葉はヘドロの元になるとのことでした。
在来種を圧迫する外来種とは知らずに、悪意無く自然に放ってしまい、問題になっている外来種は少なくないように思います。現在特定外来種に指定されている動植物の多くは人間活動によって日本に持ち込まれたものであり、生物多様性保全における情報発信の必要性を再認識しました。
(なごや生物多様性センターインターン生/山本実央)