Mustela
タヌキ(食肉目イヌ科)
学名:Nyctereutes procyonides
特徴
体長は70~80cm、体重は3~5kg。尾は地面に届かない長さ(20cm以下)で、模様はありません。
夏と冬で見た目が大きく異なります。夏毛の時期(6~10月頃)は、毛足が短くなって痩せて見えるので、その姿はイヌのようにも見えます。冬毛の時期(11~5月頃)は毛足が長いので、まるまると太って見えます。夏毛のスリムな姿とはまるで別の動物のようです。毛が抜けてしまう個体(「疥癬症」という皮膚の病気)も比較的よく見られます。
夏毛のタヌキ
冬毛のタヌキ
疥癬症になったタヌキ
アライグマ(食肉目アライグマ科)
学名:Procyon lotor
特徴
体長は60~90cm、体重は5~10kgで、4種の中では最も大型です。尾は太くて長く(20~40cm)、5本ほどの黒い縞模様があるのが特徴です。白地に黒のアイマスクを付けたような顔に、白くて長いヒゲが生えています。
指の一本一本が長く、つま先からかかとまで地面につける歩き方をします。そのため、足跡が人間の手形に似ています。高い場所にも登ることができ、木に登ったり、塀の上を歩く姿がたびたび目撃されます。
アライグマの全身
アライグマの顔
デッキに付いたアライグマの足跡
ハクビシン(食肉目ジャコウネコ科)
学名:Paguma larvata
特徴
体長は80~100cm、体重は2~3kg。尾が胴体に匹敵するほどの長さ(35~45cm)で、細長いスラっとした体型が特徴です。尾の先端は黒みがかっています。顔の中央に白い縦スジがあるのが特徴で、名前の由来(白鼻芯=ハクビシン)ともなっています。
アライグマよりも木登りが得意で、果実(カキやミカンなど)をもとめて木に登ります。
ハクビシンの全身
ハクビシンの顔
イタチ類(食肉目イタチ科)
学名:Mustela spp.
特徴
体長は35~55cm、体重は1.5~4.5kgで、4種の中ではとりわけて小型で、長い尾(10~15cm)が特徴です。体全体が黄色っぽい毛並みで、顔の先端(鼻や口元)だけが白色をしています。とてもスリムな体型なので、狭い所にも入り込めます。
在来種の「ニホンイタチ(Mustela itatsi)」以外にも、それよりも大型な外来種の「シベリアイタチ(Mustela sibirica)」がいます。この2種は見た目が良く似ており、写真だけでは見分けが付けるのが困難です。
シベリアイタチの全身
罠に捕まったシベリアイタチ
番外編
ヌートリア(齧歯目ヌートリア科)
学名:Myocastor coypus
特徴
体長は80~120cm、体重は4~6.5kgで、大型のネズミの仲間です。水辺を中心に生活し、泳ぐのも得意なため、長い尾(30~50cm)や水掻きのある後足を持っています。
夜行性の動物ですが、日中でも泳いでいる姿が目撃されることがあります。水中を泳ぐ姿が「カワウソ」に間違えられることもありますが、その正体はまずヌートリアです。
ヌートリアの全身
泳ぐヌートリア
名古屋市内の野外に定着している淡水カメ類は以下の4種類になります。
ニホンイシガメMauremys japonica
クサガメMauremys reevesii
ミシシッピアカミミガメTrachemys scripta elegans
ニホンスッポンPelodiscus sinensis
いずれも特徴的なカメなので、見慣れると間違うことはないのですが、性的二型(オスとメスの違い)が顕著な種や雑種も存在し、正確な同定には注意が必要です。ここでは、同定のポイントをいくつか示し、野外での淡水カメ類の見分け方について説明します。
他のカメ類とは異なった形態を持つスッポン類
スッポン類は他のカメ類とは異なった背甲を持つため、容易に区別できます。私たちの見慣れているカメ類は、背中の甲羅が俗に言う亀甲模様を形成しています(写真1:クサガメ)。これは甲羅の表面を角質からなる多数の甲板(鱗板)が覆っているためです。しかし、スッポン類は甲板を欠いているので、亀甲模様はなく、背甲は柔らかくなっています(写真2:ニホンスッポン)。また、鼻先が細く尖るのもスッポン類の特徴です。
クサガメの背甲
背甲を甲板が覆い亀甲模様を形成。
ニホンスッポンの背甲
甲板を欠く。背甲は柔らかい。鼻先が尖る。
クサガメの腹甲
背甲と同様、腹甲も甲板が覆う。
二ホンスッポンの腹甲
背甲と同様、腹甲も甲板を欠く。
ニホンイシガメとクサガメの見分け方
ニホンイシガメとクサガメは同じイシガメ属(Mauremys)のカメですが、外見はかなり違っており、容易に区別できます。ここでは、両種を区別する際のポイントを説明します。
まず背甲の色ですが、ニホンイシガメは茶褐色から黄褐色の色をしているのに対し(写真5)、クサガメは茶褐色から黒褐色をしています(写真6)。
また、背甲の特徴として両種ともキールと呼ばれる隆起があります。ただし、二ホンイシガメは背中線上にキールが一本であるのに対し(写真5)、クサガメはキールが三本見られます(写真6)。ただし、老成個体ではキールが分かりにくい場合もあり、注意が必要です。
ニホンイシガメの背甲
背甲は茶褐色から黄褐色。キールは1本。
クサガメの背甲
背甲は茶褐色から黒褐色。キールは3本。
腹甲の色はニホンイシガメが全体的に黒いのに対し(写真7)、クサガメは全体が黒い個体とシーム(甲板の継ぎ目)が白く目立つ個体がいます(写真8)。
ニホンイシガメの腹甲
腹甲は全体的に黒い。
クサガメの腹甲
シーム(甲板の継ぎ目)が白く目立つ個体。
頭部の色はニホンイシガメが茶褐色か黄褐色で側面に黒い筋模様が入るのに対し(写真9)、クサガメは頭部側面に黄白色の複雑な模様が入ります(写真10)。また、目についてもニホンイシガメは虹彩が暗褐色で黒目がちなのに対し(写真9)、クサガメは虹彩が黄色または白色をしており、黒い線が入ります(写真10)。ただし、クサガメのオスは成長に伴ってメラニズム(黒色素の沈着)を起こし、頭部側面の模様や目の虹彩の色彩が消失、黒化するので、まるで別種のカメのように見えます(写真11)。クサガメのメスは黒化しないので成長しても頭部側面の模様は残ります(写真12)。クサガメの中には老成すると頭部が巨大化する個体もいます(写真12)。
ニホンイシガメの頭部
茶褐色から黄褐色で黒い筋模様が入る。
目は黒目がち。
クサガメの頭部
頭部側面に黄白色の複雑な模様が入る。
目の虹彩は黄色または白色をしており、黒い線が入る。
クサガメの黒化したオス
オスは成長に伴って目も含めて全体的に黒く変化し、頭部側面の模様も消失する。
クサガメの巨頭化した老成メス
メスは成長しても頭部側面の模様が消失しない。老成個体は背甲のキールが分かりにくい。
ニホンイシガメとクサガメの雑種
ニホンイシガメとクサガメは同じイシガメ属(Mauremys)のカメで交雑もします。ニホンイシガメとクサガメの雑種は「ウンキュウ」と呼ばれ、野生下でも稀に見られます。また、ペットショップでも「ウンキュウ」の名称で販売されることがあります。
雑種と推測される個体は両種の特徴を併せ持っていますが(写真13、14)、交雑が進むにつれて外部形態では区別が難しくなる可能性もあります。いずれにしても、両種の特徴を持った個体が見つかった場合は雑種だと疑う必要があります。
ニホンイシガメとクサガメの雑種と推測される個体。クサガメよりの形態を示す。
ニホンイシガメとクサガメの雑種と推測される個体。二ホンイシガメよりの形態を示す。
ミシシッピアカミミガメ
アメリカ合衆国原産のミシシッピアカミミガメは「ミドリガメ」とも呼ばれ、幼体の内はきれいな緑色をしています(写真15)。しかし、成長とともに色彩が変化するため、別種のカメのように見えます。成体になると背甲の色はくすんでしまいます(写真16)。また、腹甲の模様も幼体から成体になるに伴って変化していきます(写真17、18)。
ミシシッピアカミミガメの幼体
通称ミドリガメと呼ばれる。
ミシシッピアカミミガメの成体メス
成長に伴って色彩が変化する。
ミシシッピアカミミガメ幼体の腹甲
渦巻き型の斑紋が見られる。
ミシシッピアカミミガメ成体の腹甲
渦巻き型の斑紋もかすかに残るが、その上に黒色の斑紋がのる。
ミシシッピアカミミガメは性的二型が著しく(写真19)、特にオスのミシシッピアカミミガメはメラニズムを起こし、背甲が黄褐色と黒色からなる色彩に変化することもあるため、ニホンイシガメと間違われることもあります。
ミシシッピアカミミガメのオスは成長とともに前肢の爪が極端に伸びます(写真20)。また、アカミミガメの特徴である頭部側面の赤い斑紋については、メスの場合、成体になっても比較的赤く残るのに対し(写真21)、オスの場合、成体になると赤色が消失します(写真22)。
ミシシッピアカミミガメの成体(左がメス、右がオス)
ミシシッピアカミミガメの成体オス
前肢の爪が著しく伸びる
ミシシッピアカミミガメの成体メス
頭部側面の赤色模様は比較的残る
ミシシッピアカミミガメの成体オス
頭部側面の赤色模様は消失する
●はじめに
アメリカ合衆国原産の外来種であるカダヤシGambusia affinisと在来種のメダカ類(ミナミメダカシOryzias latipes、キタノメダカOryzias sakaizumii)の外見は、一見似ているため混同されることがあります。
カダヤシは現在、外来生物法によって「特定外来生物」に指定されており、生きたままの移動や放流、販売、飼育等が原則禁止されています。しかし、メダカ類と間違えて採集され、飼育されたり、別の場所に放たれたりすることもあります。
ため池や水路などでは、カダヤシが増加すると類似したニッチを持つメダカ類が減少するあるいはいなくなってしまうこともあり、カダヤシの放流は絶対にやめるべきです。しかし、「特定外来生物」に指定された現在でも、様々な場所にカダヤシが放流されているようです。
名古屋市内でも、最近までメダカ類しか見られなかったため池に、いきなりカダヤシが出現することがあります。誰かがカダヤシを故意に放流した可能性もありますが、多くはメダカ類と間違えて、善意で放流しているのかもしれません。もちろん、在来種のメダカ類であっても、地域ごとの多様性が明らかとなっている現在、遺伝的撹乱を防ぐという意味でも、安易な放流は避けるべきです。
繰り返しになりますが、カダヤシの場合は外来生物法によって「特定外来生物」に指定されており、生きたままの移動や放流、飼育等は法律で原則禁止されています。しかし、現在でも学校のビオトープなどでメダカ類と間違えてカダヤシが飼育されていることもあります。カダヤシとメダカ類の区別をつけておくことは、このような間違えを防ぐという意味でも重要なことです。
●カダヤシとメダカ類の識別ポイント
以下にカダヤシとメダカ類の識別ポイントをあげます(下図参照)。
①尾びれは、カダヤシでは後縁が丸み帯びるのに対し、メダカ類では直線的。
②尾柄長
*尾柄長:臀びれ
③臀びれは、カダヤシではメスが丸み帯び、オスは先端が細く尖るのに対し、メダカ類では角ばる(メダカ類のメスの臀びれは、後方に従って幅が狭くなるのに対して、オスの臀びれは前方と後方がほぼ同じ幅)。
カダヤシ、メダカ
見た目の特徴
尾鰭
尾柄長
*尾柄長:臀鰭
写真提供:鳥居亮一(三河淡水生物ネットワーク)
(なごや生物多様性センター/野呂達哉)
準備中です
オオキンケイギク(キク科ハルシャギク属)
学名:Coreopsis lanceolate
特徴
北アメリカ原産の多年生草本です。
高さ30~70cmで、根生葉
花期は5~7月で、頭状花は直径5~7cm、舌状花
ハルシャギク(キク科ハルシャギク属)
学名:Coreopsis tictoria
特徴
北アメリカ原産の一年生草本です。
高さ60~120cmで、葉は対生し、1~2回羽状に深裂または全裂、最終裂片は線形でやや光沢があります。
花期は5~7月で、頭状花は直径3~4cm、舌状花は上半部が橙黄色、下半部が紫褐色のものが多いです。
オオキンケイギクと見分けるコツ
オオキンケイギクの花は橙黄色一色ですが、ハルシャギクの花は中心部に色がついている(主に紫褐色)場合がほとんどです。
キバナコスモス(キク科コスモス属)
学名:Cosmos sulphureus
特徴
メキシコ原産の一年生草本です。
高さ60~200cmで、葉は2~3回羽状に裂け、裂片は披針形です。
花期は8~11月で、頭状花は直径5~6cm、舌状花は黄色~橙赤色で先に3歯があります。
オオキンケイギクと見分けるコツ
花の時期が秋で、オオキンケイギクと違って葉が細かく裂けているのが特徴です。