生きものコラム

ビオトープ襲撃!!外来種による脅威

※この記事には胃の内容物の写真が含まれます。

 

 

センターにビオトープが出来てから、3年が経ちました。

訪れる生きものの種数は順調に増えているようですが、良いことだけではありません。

 

2023年6月にはミシシッピアカミミガメの成体メスが侵入し、その個体のものと思われる産卵跡も見つかりました。この時はカラスか何かの動物が荒らした跡があり、仔ガメは生まれませんでした。

ところが2025年4月末、前年の秋生まれと思われるミシシッピアカミミガメの仔ガメが捕獲されました。職員やセンサーカメラの目をかいくぐって侵入したメスが産卵した卵から生まれたのか、センターの横を流れる植田川で生まれた仔ガメが自力で歩いてきたのかは定かではありません。

ミシシッピアカミミガメ(成体メス)

 

産卵跡

 

捕獲されたミシシッピアカミミガメの仔ガメ

 

仔ガメ捕獲後は見回りの頻度を増やして様子を見ていますが、今のところは新たな仔ガメは見つかっていません。

 

また、今年の3月頃からビオトープに大きなカエルの影が見られるようになったため、カゴ罠を仕掛けました。

ワナ設置の様子

 

 

数日後にはなんと、大きな成体のウシガエルが!

センターの横の植田川からやってきたのかもしれません。

捕獲されたウシガエル

 

その後、定期的にワナの確認をしていますが、4月の多い週には4匹捕まることもありました。

4月半ばに捕獲された個体はどれも体重が50g程度と小型で、冬眠明けに餌を探したり、生息域を広げたりする目的でビオトープにやってきた可能性があります。

5月に入ってからは捕獲数は激減しました。

 

捕獲されたウシガエルの胃の内容物を確認すると、ビオトープにも生息する生きものが含まれていました。

昆虫類(ヤンマ科)

 

魚類(メダカと思われる)

 

昆虫類(サナエトンボ科)

 

多足類(オオムカデ科)

 

ウシガエル1匹につきメダカらしき魚類6匹、トンボ類1匹を食べていた個体もいました。

大食漢で有名なウシガエルの場合、放置しておくとあっという間に在来種が食べつくされてしまった、ということも起こりえます。

 

大きな体と旺盛な食欲で生息域を拡大するウシガエルがビオトープに定着しないよう、引き続き防除に力を入れていきます。

(なごや生物多様性センター/水野 いづみ)

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