森林保全体験を通して生物多様性を学ぶバスツアーを開催しました
2024年10月27日(日)に「森林保全体験を通して生物多様性を学ぶバスツアー」を開催しました。
小学5年生~中学3年生のお子さんとその保護者総勢32名で岐阜県下呂市萩原町にある「皇樹の杜」へ向かいます。行先は名古屋市の水道の源でもある木曽川の支流、飛騨川の上流域です。
林業現場の見学や、自然をテーマとした地元のイベントへの参加を通して、森と水の関わりや、森林の重要性を学びました。
名古屋市の水道水は濃尾平野を流れる木曽川から取水しています。大きな川が流れ続けるためには森の力が必要で、雨水をたくわえ、ゆっくりと川へ流すことにより、途絶えることなく川の水が流れ続けます。
名古屋市上下水道局の伊東さんによると、森林が整備され、安心安全な水が供給され続けるためには、上流地域の経済が回っていることが大切だそうです。上下水道局では流域連携事業に力を入れており、上流地域の商品を下流地域である名古屋の商社に販売する取り組みや、木曽三川流域フォトコンテストなどのイベントを実施しています。
森の案内人
バスの道中や現地で案内してくださったのは、NPO法人森のなりわい研究所の伊藤栄一さん。片道約140kmの道のりを、飛騨川沿いの景色を眺めながら上流へ向かって進みます。名古屋で育ち、下呂市に長年住んでいる伊藤さん自身の経験を踏まえながら、流域の文化や植生の移り変わりなどのお話を伺いました。
岐阜県は森林率が全国第2位(約82%)と高いですが、実は下呂市萩原町の森林の7割以上が人工林。森林環境譲与税(※)の活用や、地域経済の活性化によって、既存の人工林を活かした森づくりを行うことが大切だとお話しされていました。
※森林環境税/森林環境譲与税:温室効果ガスの排出抑制や災害防止などを目的とした森林整備や、それを促す人材育成・普及啓発等に必要な財源を安定的に確保するため、国民が等しく負担を分かち合って森林を支える仕組みとして創設されたもので、名古屋市にも令和元年度から譲与税が配分されています。
林業現場の見学
現地に着くと、南ひだ森林組合による林業機械のデモンストレーションの様子を見学しました。チェーンソーで伐採した木を、ハーベスタという最新の重機を用いて加工します。器用にアームを操作し木を掴むと、自動で計測・切断され、丸太の状態になりました。
高性能な機械の迫力と、長年の間に林業の現場で培われた技術に、参加者の皆さんもくぎ付けになっていました。デモ終了後は重機の操縦席に座って記念撮影を行いました。
屋外でわっぱ飯
次はお待ちかねのお昼ご飯。伊藤さんプロデュースの曲げわっぱに、地元の食材がたっぷり詰まったお弁当をいただきました。
お腹が満たされたところで、現地で開催されている「下呂市みどりの祭」のステージイベントに参加。ヨーデル(アルプス地方の伝統音楽)を聴きながら、伊藤さんの森のお話やクイズを楽しみました。地元の方と一緒に輪になって踊り、交流を深めました。
森林保全体験
最後に、前年度のバスツアーで植樹を行った現場を見学し、苗木を守るために自然と生えた草を刈り取りました。まだ膝丈から腰ほどの高さの木ですが、立派に育つには約30年かかるそう。森を育てるためには、適切な管理と長期的な視点が大切だと感じました。
作業中に小雨が降ってきたため、森の木陰で雨宿り。この雨水も森にたくわえられ、川を流れ、私たちの元に届くのかもしれません。
参加者の声
・重機の迫力に驚いた
・現場見学を通して、森を手入れすることの大切さを学ぶことができた
今後もいろいろと趣向を変えて実施したいと思いますので、皆さん機会があれば是非ご応募してください!
(なごや生物多様性センター 片山友香)