生きものコラム

えっ!? な顔の幼虫

夏休みに入って、虫捕りに出かける子供の姿を見る機会が増えてきましたね。

ジャノメチョウの仲間は、市内の緑地や公園で頻繁に見ることができる身近なチョウ類です。このチョウ類は「ジャノメ(蛇の目)」とよばれる模様が羽にあることを除けば、茶色い地味な見た目をしています。ところが、その幼虫はとてもユニークで、ある動物に見た目がとても似ているのです。どんな動物か想像できますか?

 

先日、そんなジャノメチョウの仲間の幼虫を探しに、平和公園(千種区)に出かけてきました。昆虫の専門家である戸田尚希先生(名城大学農学部昆虫学研究室研究員・名古屋昆虫同好会会員)の協力の下、幼虫の食草しょくそう(昆虫が餌とする植物のこと)であるササ類を「ビーティング」してきました。ビーティングとは、枝葉の下にネットを置き、棒などで叩いて、その衝撃で落ちた昆虫を採集する方法です。園内を歩きながら、ササ類を見つけるたびにバンバンと叩きます。その結果、見つかった幼虫が、サトキマダラヒカゲの幼虫クロコノマチョウの幼虫です。どちらも“ネコの顔”に似ていませんか?クロコノマチョウの幼虫の方は、むしろ“ウサギ顔“に近いかもしれませんね。

どうしてネコ顔の幼虫を探しに行ったのかというと、センターと名古屋市科学館とがコラボした『なごやネコあつめ』展で紹介するためです。この展示は、ネコに似た姿をしていたり、ネコに因んだ名前を持つ生きもの、例えばネコと同じくヒゲを持つ魚「ナマズ(英名:catfish)」などを紹介する企画です。今回採集した“ネコ顔の幼虫”の標本も展示されますので、乞うご期待ください。この展示は、8月中旬から科学館の生命館5階のバイオギャラリーで実施予定です。科学館の特別展『「ネコ」~にゃんと!クールなハンターたち』に合わせて、ぜひ足を運んでみてください!

(なごや生物多様性センター/曽根啓子・西部めぐみ)

一覧に戻る
ページトップへ戻るボタン