生きものコラム

植田川で??の巣穴を発見

春の訪れとともに、外を歩くのが気持ちの良い時期になってきましたね。普段はあまり行かない場所に足を延ばし、生きものとの出会いを経験したという方もいるのではないでしょうか。

 

先日、休憩中に植田川沿いを散歩していた際、橋の上から河川敷をふと見下ろすと、動物の巣穴らしきものが目に留まりました。何の動物の巣穴だろうかと思い、河川敷に降りて近くで観察してみました。川岸に程近い場所の一角に、盛り土をしたような凹凸があり、その中に直径20~30cm程の穴が3個程あったので、これが巣穴の出入り口であることが分かりました。

しかし、これだけでは、巣穴の主である動物を特定するには、決め手に欠けます。そこで、巣穴付近で他の痕跡を探してみました。すると、巣穴から河川へと続く場所に、頻繁に使っている通り道(いわゆる獣道けものみち)があり、その途中に長さ3cm程のソーセージ状の糞が落ちているのに気付きました。

この糞の特徴から、巣穴の主は、水辺に生息する巨大ネズミ「ヌートリア」であると判明しました。ヌートリアは南米が原産地の外来種で、日本で野生化した経緯については以前のコラムでも紹介しました。植田川はヌートリアの目撃例が多い場所の一つで、「川沿いを散歩していたら、姿を見かけた」などといった報告がよくセンターに寄せられます。そのため、「ヌートリアのねぐらとなる巣穴があるのだろう」とは考えていましたが、散歩中に偶然発見することになるとは驚きました。「犬も歩けば棒に当たる」ならぬ「専門員が歩けばヌートリアの巣穴に行き当たる」ですね。

(なごや生物多様性センター/曽根啓子)

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