【祝】ニホンイシガメ誕生
生きものコラム 2022.09.15
6月中旬、生息域外保全をしているニホンイシガメが無事産卵しました。
本コラムでは卵の取出し作業から孵化、仔ガメの計測の様子をお届けします。
「生息域外保全しているニホンイシガメ」とは・・・これまでの調査で、市内のニホンイシガメが減り続けており、特にオス個体が減っていることが判かってきました。そこで「なごビオ(なごや生物多様性保全活動協議会)」では、センター敷地内でニホンイシガメを保護・繁殖させ、個体数の回復を目指す活動を行っています。
そろそろ産卵かなと思われる6月中旬、名城大学の野生動物生態研究会の学生さん達と親ガメの飼育ケースの土をそろ~りそろ~り掘り、卵を探します。カメの卵は柔らかいので潰してしまわぬよう、慎重に・・
※産卵床の作成や仔ガメの飼育を学生と共に実施しています。
親ガメはハラハラ。卵が取り出される様子を見つめます。
親ガメの視線を感じながら取り出した卵は、孵卵器(温度を一定に保つ機器)に入れて孵化させています。ニホンイシガメを含むカメ類の中には、温度依存性決定という性質を持つものがいます。この性質は、産卵した土の中の温度によって孵化する仔ガメの性別が決定するというものです。この性質を利用し、孵卵器の温度を調整することで、野外で減っているオスを優先して孵化させています。
タマゴを水苔や土のベッド(産卵床)にそっと置き、いざ孵卵器へ!
産卵から2ヶ月が経った8月も終盤、ついに孵化しました!!!
卵の殻を割り、ゆっくりゆっくり仔ガメは外の世界に出てきます。仔ガメのお腹には「ヨークサック」とよばれる栄養を蓄えた袋がついており、孵化後しばらくはここからの栄養分を使って生きています。
数日後、再度仔ガメの計測を行いました。小さく、何も教えていないけれどパワフルに動き回ります。お腹のヨークサックもなくなりましたね。これからすくすく育っていくことを願い・・・。
(なごや生物多様性センター 成田優之・宇地原永吉)