生きものコラム

新春 ”骨作り” 初め

遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます。今年も旧年同様よろしくお願いいたします。

 

作年末にセンターでは、待望の標本室の整備が完了しました。標本の収蔵スペースが拡充され、「今年も標本作りに邁進するぞ!」という意気込みで、新しい年を迎えることが出来ました。仕事始めの日、早速冷凍庫に保管してあったイノシシを取り出して、骨にする作業を開始しました。このイノシシは、昨年の11月に守山区で捕獲された若いオスの個体です。若い個体と言っても、体長は1m近くあるため、そのままでは骨作りも容易ではありません。そこで、解剖時に体を分割し、パーツごとにネットに詰めておきました。これを煮込み鍋に入れて一晩煮込むと、骨から軟組織(筋や脂肪)が外れやすくなります(骨付き肉の煮込み料理を作るのと、同じ原理です)。この状態で水洗すると骨だけが残るので、骨をバットに並べて乾燥させてやれば、骨標本の完成です。

骨作りは楽しい作業ではあるのですが、寒い季節ならではの苦労もあります。それは水洗する際の水がとても冷たいということです。「お湯で洗えば良いのに・・」とも思いますが、湯気で手先が見にくくなるので、小型で多数の骨からなる部位(足など)になるほど水が良いといことになるのです。冷たい水仕事が続くと途中で投げ出したくなる時もありますが、水洗し終わった骨を見ていると、そんな気持ちも何処やら、達成感で満たされます。そしてまた骨作りに向かう・・・、というわけです。

(なごや生物多様性センター/曽根啓子)

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