捕れたアメリカザリガニを食べるのは・・・誰だ?
アメリカザリガニは、池で釣ったり、学校や家で飼った経験もある身近な生きものではないでしょうか?
ペットショップでは青色や白色など様々な品種が見られるほど人気があります。
野外で生きものを調べていると、子どもたちから良く質問をもらうことがあります。
それは・・・「捕ったザリガニはどうするの?」と聞かれます。
カメを調べるためにワナを仕掛けていると、ニホンイシガメなどが捕れるほかに、写真のようにケースの底が埋まるほどアメリカザリガニが多く捕れることがあります。
本来であれば、ありえない異常な光景なのです。
アメリカザリガニは、昭和2年ごろに輸入されて平成、令和と時が経ち人間にとっては馴染みある存在になったのかもしれません。
しかし、古くからその場所に生息している水草や水生昆虫などの生きものたち(在来生物)に影響を与えてしまっていることが確認されており、これっぽっちの時の流れでは日本の生態系には馴染めていないことが分かります。
そのため、捕ったアメリカザリガニは取り除き、エサとして利用します。
ただ、ペットのエサではなく
生息数が減っている生きものたちを他の場所で保護して増やす活動(域外保全)などで保護している生きものためのエサとして利用しています。
在来生物を食べる側から、保全のために食べられる側となり、センターでは一役買っているのです。
一度冷凍した後に、胸頭部(頭の方)と尾部に切り分けて、食べやすい尾の部分のみを冷凍して保存をしています。
ザリガニを食べるのは馴染みがないかもしれませんが、北欧やアメリカ一部地域では夏ごろに茹でたザリガニを食べるザリガニパーティーが風物詩となっています。
食用の冷凍ザリガニが流通しており、食べてみると美味しいので、ご賞味あれ。
宇地原永吉 (なごや生物多様性センター)