生きものコラム

玄関の「季節の昆虫」展示が入れ替わりました!

長かった夏が終わり、ようやく秋めいた気候になってきましたね。センターの玄関にある「いきものギャラリー」の展示も、季節に合わせて模様替えしています。先週からは「秋の昆虫」と題して、バッタテントウムシの標本の展示を始めました。これは、「なごビオ(なごや生物多様性保全活動協議会)(外部リンク)」が毎年行っている「なごや生きもの一斉調査(外部リンク)」で、昨年度はバッタを、今年度はテントウムシを調査対象としたことに因んでいます。展示されているバッタの標本は、昨年度の調査で採集された個体を、戸田尚希氏(名城大学農学部昆虫学研究室・名古屋昆虫同好会)の協力のもとに標本化したもので、まさに調査結果の証拠品なのです!

 

さて、せっかく機会なので、今年度の調査対象種であるテントウムシについて紹介します。テントウムシと言えば、「赤地に黒紋」姿をしているイメージが強いですが、その色や模様は実に多彩です。例えば、「ナミテントウ」の姿は、「黄地に細かな黒紋」、「黒地に大きな赤紋」、「全体が黄赤色」など、非常にバリエーションに富んでいて、「本当に同種なの?」と疑ってしまう程です。まさに「種の多様性」を体現したような生きものですね。

一方で、テントウムシはどこにいても目立つので、天敵である鳥にすぐに見つかって食べられてしまうのでは?と心配になります。でも大丈夫。実はテントウムシは危険を感じると、体から毒を分泌します。そのため、そのことを知っている鳥に食べられることはほとんどないそうです。テントウムシの派手な色や模様は、「食べるな、危険!」というアピールなのですね。さらに面白いことに、本当は毒などないにも関わらず、テントウムシに姿を似せて(=擬態して)身を守っている昆虫さえいるのです。その一つが、「テントウゴキブリ」というゴキブリの仲間です。隣のナミテントウと比べると、色も形もそっくり!動きはカサカサとゴキブリらしいものだそうですが、じっとしていれば見分けがつきませんよね。この話に興味を持った方には、「季節の昆虫」展示のすぐ脇にある「昆虫の擬態」を特集したコーナーもお勧めです。

センターの展示は小規模ですが、生きものの魅力がギュッと詰まっています。来館された際は、ぜひ足を止めてみてください!

(なごや生物多様性センター/曽根啓子)

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