2021年度インターンシップに参加して➁
私は、幼い頃から生きものと触れ合うイベントに多く参加していたこともあり、生きものにとても興味がありました。生きものについて学びを深め、少しでも生物多様性に貢献したいと思い、インターンに応募させていただきました。
今回のインターンでは、カメの捕獲調査やアライグマの頭骨標本作りなど、普段は体験できないような貴重な経験をさせていただきました。
その中でもハクビシンの剥製作りが一番印象に残っています。前日までは恐怖心よりも楽しみな気持ちの方が強かったものの、いざ剥製にするハクビシンを前にすると、すごく衝撃的で自分に務まるか不安でした。しかし作業が始まると貴重な体験に没頭してしまい、その恐怖はすぐに消えていきました。剥製作りでは解凍→剥皮→防腐処理→綿詰め→縫製の作業がありました。その中でも、防腐処理の際の皮を裏返す工程が一番印象に残っています。毛皮に包まれた可愛らしいハクビシンの見た目が、すっかり変わってしまったことに衝撃を受けたからです。しかし、生物標本はその生きものの形態学的特徴を備えているだけでなく、地球上のいつどこで生息していたのかなど「今ある生きものの姿を後世に残すための証拠品」になるという役割もあると教わり、このハクビシンが生きていた証を保存したいという使命感が湧き、最後までやりきることができました。
ハクビシンの剥製作りの体験をさせていただけたことで、生きものについて考え直すきっかけになりました。もともとは人間が持ち込んだ生きものであるにもかかわらず、今では厄介者扱いされ、人間の都合で命を奪われていることに心が痛んだと同時に、自然環境が、私たち人間の影響で、生きものにとって段々と住みにくくなっている現実を突きつけられたような気持ちになりました。この現実を深く受け止め、今回のインターンシップで学んだことを少しでも発信できるようになりたいと思いました。
(なごや生物多様性センターインターン生/森下美悠)