生きものコラム

「丑」なのに○○シカ!?

以前、昨年の干支である子(ネズミ)」の話をしたので、今度は今年の干支である「丑(ウシ)」にちなんだ話をしたいと思います。

 

まず、上の写真を見てください。これは愛知県の設楽町したらちょうにある茶臼山高原道路ちゃうすやまこうげんどうろで撮影されたもので、まだ雪が残る山の斜面にたたずんでいるのは「カモシカ」という動物です。名前の中に「シカ」と入っているのでシカの仲間と思いがちですが、実はウシやヤギと同じ「ウシ科」に属する、ウシの仲間なのです。両者の見分け方に関する話はまたの機会に譲るとして、今回は、このカモシカについて紹介します。

 

カモシカはアジアの山岳部に生息する、体長1m程、体重40kg程の比較的大型な哺乳類ほにゅうるいです。世界に3種類いるカモシカのうち、日本には「ニホンカモシカ(Capricornis crispus」という種が、本州、四国、九州に分布しています。この付近では、三重県菰野町こものちょうにある御在所岳ございしょだけが生息地として有名で、ニホンカモシカが町のシンボルマーク的存在にもなっています。愛知県では、県北東部の山地に広く分布していますが、最近では、瀬戸市や尾張旭市などの県北西部の低地でも生息が見られるようになりました。実は、名古屋市でも、10年程前から守山区の「東谷山とうごくさん」で生息が確認されており、なんと昨年には名東区の市街地にも出没し、ニュースなどで話題となりました。かつては奥山に住む「幻の動物」であったニホンカモシカは、比較的身近な動物へと変容しつつあるようです。

 

 

(なごや生物多様性センター・曽根啓子)

 

 

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