生きものコラム

昆虫標本作成講座(2回目)を開催しました!

今年度から始まった『昆虫標本作製講座の2回目が、8月28日にセンターで開催されました。2回連続で昆虫標本の作り方を学べる講座で、講師は戸田 尚希先生(名城大学農学部昆虫学研究室研究員・名古屋昆虫同好会会員)です。

第1回目では、昆虫を採集し、整形して乾燥させる工程を行いました。

第2回目である今回は、昆虫の種類を同定し、ラベルを付けて標本箱に収蔵する工程を学びました。博物館などの昆虫の標本は、「ドイツ箱」とよばれる木製の標本箱に収蔵されるのが一般的ですが、これは比較的高価なものです。そこで今回は、タッパーなどの深さのある箱に発泡スチロールを底敷きして、簡易の標本箱としました。

 

さて、準備した標本箱に昆虫を収蔵していきます。参加者はまず、「針刺し」や「台紙張り」といわれる手法で、標本箱に昆虫を針で刺す作業を行いました。「針刺し」は、甲虫類やチョウ類、トンボ類などの比較的大型の昆虫の体の中心部に、直接針を刺していくものです(写真①)。一方、「台紙張り」は、アリやゾウムシなどの小型で針を刺せない昆虫を、三角形に切った台紙の上に載せ、台紙に針を刺していくものです。昆虫が小さい程、細かい作業が増えて、皆さん苦戦しているようでした。また、この作業を行う際に忘れてはいけないのが、「採集ラベル」を一緒に刺すことです。標本にラベルが付くことで、「いつ、どこで、だれが採集したのか」ということが明確になり、「生き物の証拠」としての価値が出るのです。

 

その後、標本の種類を決める「同定」という作業に挑戦しました。標本と図鑑とを見比べながら、「これかな?」という種類を探していくのですが(写真②)、図鑑に載っているものだけでも膨大な数にのぼるため、最も難しい作業といえます。講師の戸田先生に同定のコツを教えてもらいながら、皆さん熱心に取り組んでいました。判明した種類は「同定ラベル」に書き、針に刺して標本に加えました。最後に、標本箱の中に防虫剤を入れてフタをし、収蔵の完了です!

 

講座の最後には、完成した標本箱を囲み、「手元が見えづらくて大変だった」、「自分でも作ってみたい」などの感想会となりました(写真③)。講師の戸田先生のスマートな進行のおかげで、参加者の大半が初心者であったにも関わらず、充実度の高い講座となったと感じました。今後も継続して開講していきたいので、コラムを読んで興味をもった方は、ぜひご参加下さい!

(なごや生物多様性センター/曽根啓子)

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