生きものコラム

藤前干潟ふじまえひがたに漂着したスナメリ

スナメリ」は背ビレをもたない小型のイルカで、東海地方では伊勢湾~三河湾の沿岸域に生息しています。市内では名古屋港での目撃例が多く、過去には港へ流入する河川(堀川)に迷い込んだ記録もあるようです。名古屋市版レッドリスト2020では、「絶滅危惧IA類」に指定されています。

 

5月24日、港湾区域にある藤前干潟ふじまえひがたで、1頭の死亡したスナメリが干潟の石の隙間に挟まっているのが発見されました。発見者である藤前活動センターの職員からの連絡を受け、なごや生物多様性センターでこのスナメリを引き取り、解剖と標本化が行われることになりました。なお、水産資源保護法に基づき、座礁報告と学術所持の申請届出もあわせて行いました。

 

6月9日、希望者を募って当センターでスナメリの解剖を行いました。筆者も含めてスナメリの解剖が初めてという参加者がほとんどで、胸ビレの形や生殖孔の位置などを皆で確認しながら体の大きさを計測していきました。その後、体にメスを入れて皮下脂肪の厚い皮膚を取り除き、内臓を観察しました。内臓はかなり腐敗が進行し、形がくずれてしまっている臓器も多かったのですが、胃を含む消化管は比較的良い状態で残っていました。胃の中身はわずかでしたが、エビや小魚を発見することができました。今後正確な種類を同定して、このスナメリが何を食べていたのかを明らかにできればと思います。最後に、不要な肉や脂肪を取り除いて骨をむき出しにし、パーツに分けて袋詰めし、作業を終えました。袋詰めした骨は電気鍋で煮込んで、骨の標本にする予定です。今回のスナメリの骨標本は、センターでの展示や普及啓発イベント等で活用する機会もあると思いますので、どうぞお楽しみに!

(なごや生物多様性センター/曽根啓子)

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