生きものコラム

先日、植物の写真を撮っていると、ブーンという羽音とともに甲虫がやってきました。

種類を確認しようと思い、どこかにとまるのを静かに待っていると、しばらくさまよってから私の服に着地してくれました。

私を翅はね休めの場所に選んだのはコアオハナムグリでした。さっそく、写真を撮るために近くの植物に置きなおし、撮影スタート！

コアオハナムグリは日本各地に広く分布し、春になると越冬していた個体が活発に花々を飛び回ります。

撮った写真をその場で拡大してみると、脚あしに白い花粉が付いていることに気が付きました。ハナムグリ類は名前の由来である「花潜り（はなもぐり）」のとおり、花粉や蜜を食べる甲虫で、植物にとっては重要な花粉媒介者かふんばいかいしゃ（花粉を運ぶもの）です。

「こうやって運ばれた花粉で植物は子孫を残すのだな」と拡大写真に見入っているうちに、コアオハナムグリは次の花を求めて飛び立っていきました。

（なごや生物多様性センター／西部めぐみ）