生きものコラム

ムササビも木から落ちる⁉

ムササビは日本にのみ生息する日本固有種で、リスの仲間です。他のリスの仲間との大きな違いは、長い前足と後足の間などに「皮膜ひまく」という膜があることです。この膜を広げてグライダーのように滑空し、樹から樹へと飛び移ることができるのです。市内でムササビが見られるのは守山区の東谷山とうごくさんに限られており、名古屋市版レッドリスト2020では絶滅危惧IA類にも指定されています。

 

昨年(2019年)の10月初旬に、この東谷山で1頭のムササビが死んでいるのが発見され、センターに持ち込まれました。この個体はオスの成獣で、外見には目立った傷などは見られなかったので、解剖して死んだ原因を探りました。すると、骨盤(腰やお尻回りの骨)に骨折が見られたことから、何らかの原因で飛行中に墜落し、腰や尻を強く打って骨折し、死んでしまったのではないかと思われました。

 

この個体は、骨と毛皮を残すための標本にしました。写真の毛皮標本(仮剥製標本かりはくせいひょうほん)は、名城大学の学生さんと一緒に作ったものです。前後の足の間に大きな膜があるのがよくわかりますよね。さらに、首と前足の間、尾と後足の間にも膜があります!動物の体の仕組みをじっくり観察できるのも、標本にするメリットなのです。

(なごや生物多様性センター/曽根啓子)

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