生きものコラム

“水平”に生えてきた歯?

人間を含むほとんどの動物の歯は、上の歯は下に向かって、下の歯は上に向かってという具合に、“垂直”に生えてきます。ところが、センターにある哺乳類ほにゅうるい頭骨標本とうこつひょうほんの中に、垂直ではない歯の生え方をしているものを見つけました。

 

これは、ハクビシン(食肉目ジャコウネコ科の動物)の頭骨の写真です。注目してもらいたいのは、下に載っている「下あごの骨」の写真の方です。写真の上段が下あごの左側、下段が下あごの右側を撮影したものです。
一番奥の歯(第二大臼歯だいにだいきゅうし)の生え方に注目して下さい。左側では歯が垂直に生えていて、これが正常な生え方です。一方、右側では歯が水平に(=横に倒れるように)生えているのが分かりますか?
しかも、下あごの骨の中に半ば埋まるように生えています。歯医者さんの用語では、このような状態の歯を「埋伏歯まいふくし」と呼んでいて、人間の“親知らず(一番奥に生える歯)“でもたまに見られる現象です。

 

動物の骨や歯をよく観察していると、変わった生え方をした歯、面白い形をした歯、病気になった歯など、ユニークなものが見つかることがあり、見ていて飽きません。またこのコラムでも紹介していきたいと思っていますので、骨好きの方はチェックして下さいね。

(なごや生物多様性センター/曽根啓子)

 

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