春先に産卵するカエルたち
生きものコラム 2020.03.26
冬が終わり、寒さが和らいでくる頃、カエルたちの産卵がはじまります。名古屋市内では、早春、最初に産卵をはじめるのはニホンアカガエルです。次いでアズマヒキガエルが産卵します。これらのカエルは少し前まで普通に見られる種でした。しかし、現在、名古屋市内では数えるほどしか産卵場所がありません。そのため、名古屋市版レッドリスト2020では、両種とも「絶滅危惧ⅠA類」になっています。これは、近い将来、市内での絶滅の危険性が非常に高いことを示しています。かつては私たちの身近に生息していたこれらのカエルたちが、今、絶滅の危機にあるのです。
以前は春先の風物詩であったオタマジャクシの採集。春先はこれらのカエルたちを観察する絶好の機会なので、ぜひ野外に出かけ探してほしいのですが、これだけ少なくなってしまうと、市内で見つけることはもはや困難です。たとえ卵やオタマジャクシが見つかったとしても、たくさん採集すると地域によっては大きなダメージになります。カエルが再び戻ってくるように、今は大切に見守ってください。
なごや生物多様性センターでは、これらのカエルの産卵情報を集めています。産卵場所を見つけたら、ぜひ当センターにお寄せください。
(なごや生物多様性センター/野呂達哉)